2008年12月23日

宮沢賢治 オツベルと象 最終話

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象最終話

 前回の続き   見てない人は 過去記事からどうぞ


さて、最終話です。 白象は? オツベルは? 壮絶な最期です!


ある日、地主のオツベルのところに 大きな白い象がやってくる。

オツベルは 象をうまく騙して自分の所有物にし、

過酷な労働を続けさせる。

そうとはつゆ知らず、初めは楽しんでいた白象だが、

徐々に食べ物を減らされて弱っていく。

仲間の象たちは、白象を助けるためにオツベルの邸へやってきた。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象

「林のような象だ。汽車より早くやってくる。」

さあ、まるっきり、血の気も失せてかけこんで、

「だんなあ、象です。押し寄せやした。」と声をかぎりに叫んだ。

ところがオツベル、眼をあいたときは、もう何もかもわかっていた。


「おい、象のやつは小屋にいるのか。居る?居るのか。よし。」

オツベルはもうしたくができていて、農夫どもをはげました。

ところがどうして、こんな主人の巻き添いなんぞ食いたくないから、

みんなタオルやハンケチや、よごれたような白いようなものを、

ぐるぐる腕に巻きつけた。降参をするしるしなのだ。

オツベルはいよいよやっきとなって、そこらあたりをかけまわる。

オツベルの犬も気が立ってほえて、やしきの中をはせまわる。


間もなく地面はぐらぐらとゆられ、象はやしきをとりまいた。

グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、

「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。

「ありがとう。よく来てくれて、ほんとに僕はうれしいよ。」

象小屋からも声がする。さあ、そうすると、まわりの象は、

いっそうひどく、グララアガア、グララアガア、

けれども塀はセメントで、中には鉄も入っているから、

なかなか象でもこわせない。

塀の中にはオツベルが、たった一人で叫んでいる。

そのうち外の象どもは、仲間のからだを台にして、

いよいよ塀を越しかかる。だんだんにゅうと顔を出す。

そのしわくちゃで灰いろの、大きな顔を見あげたとき、

オツベルの犬は、あえなく気絶した。


さあ、オツベルは射ちだした。六連発のピストルさ。

ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、

ところが弾丸は通らない。牙にあたればはねかえる。

「なかなかこいつはうるさいねえ。」オツベルがつぶやいた。

 そのとき…

五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。

オツベルはピストルを握ったまま、

もう、くしゃくしゃにつぶれていた。


門があいていて、象がどしどしなだれ込む。

「牢はどこだ。」みんなは小屋に押し寄せる。

丸太なんぞは、マッチのようにへし折られた。

あの白象は大へんやせて小屋にいた。

「まあ、よかったね。」みんなは、そばにより、

鎖と銅をはずしてやった。

「ああ、ありがとう。ほんとにぼくは助かったよ。」

白象はさびしくわらってそういった。


そして、謎めいた原文のさいごの一行には、こう書かれている。

 おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象


posted by りゅうせい at 19:42| Comment(0) | 宮沢賢治 オツベルと象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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