2009年07月09日

北守将軍と三人兄弟の医者

  宮沢賢治 北守将軍と三人兄弟の医者

第一話 三人兄弟の医者

むかしラユーという首都に、兄弟三人の医者がいた。
いちばん上のリンパーは、普通の人の医者だった。
その弟のリンプーは、馬や羊の医者だった。
いちばん末のリンポーは、草だの木だのの医者だった。
そして兄弟三人は、町のいちばん南にあたる、
黄いろな崖のとっぱなへ、青い瓦の病院を、
三つならべて建てていて、てんでに白や朱の旗を、
風にぱたぱたいわせていた。
坂のふもとで見ていると、次から次と登っていって、
さて坂上に行き着くと、病気の人は、左のリンパー先生へ、
馬や羊や鳥類は、中のリンプー先生へ、
草木を持った人たちは、右のリンポー先生へ、
三つにわかれて入るのだった。
さて三人は三人とも、実に医術もよくできいて、
また仁心も相当あって、もはや名医の類であったのだが、
まだいい機会がなかったために遠くへ名$前も聞えなかった。
ところがとうとうある日のこと、不思議なことが起こった。
  宮沢賢治 北守将軍と三人兄弟の医者

次回第二話 北守将軍ソンバーユー

お楽しみに
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2009年06月14日

宮沢賢治  鹿踊りのはじまり


宮沢賢治の魅力 鹿踊りのはじまり

それから、そうそう、苔の野原の夕陽の中で、

わたくしはこのはなしをすきとおった秋の風から聞いたのです。

そのとき西のぎらぎらのちぢれた雲のあいだから、

夕陽は赤くななめに苔の野原に注ぎ、すすきはみんな

白い火のようにゆれて光りました。

わたくしが疲れてそこに睡りますと、ざあざあ吹いていた風が、

だんだん人のことばにきこえ、やがてそれは、北上の山の方や、

野原に行われていた鹿踊りの、ほんとうの精神を語りました。

そのほんとうの精神とは・・・

  宮沢賢治  鹿踊りのはじまり

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2009年05月03日

宮沢賢治 気のいい火山弾1


気のいい火山弾

  宮沢賢治  気のいい火山弾

ある死火山のすそ野のかしわの木のかげに、
「ベゴ」というあだ名の大きな黒い石が、
永いことじぃっと座っていました。
「ベゴ」という名は、その辺の草の中にあちこち散らばった、
かどのあるあまり大きくない黒い石どもが、つけたのでした。
ほかに、立派な、本とうの名前もあったのでしたが、
「ベゴ」石もそれを知りませんでした。
ベゴ石は、かどがなくて、丁度卵の両はじを、
少しひらたくのばしたような形でした。
そして、ななめに二本の石の帯のようなものが、
からだを巻いてありました。
非常に、たちがよくて、一ぺんも怒ったことがないのでした。
それですから、深い霧がこめて、空も山も向うの野原も
なんにも見えず退くつな日は、かどのある石どもは、
みんな、ベゴ石をからかって遊びました。
「ベゴさん。こんちは。おなかの痛いのは、なおったかい。」
「ありがとう。僕は、おなかが痛くなかったよ。」
とベゴ石は、霧の中でしずかに云いました。
「アァハハハハ。アァハハハハハ。」
かどのある石は、みんな一度に笑いました。
「ベゴさん。ゆうべは、とうがらしを持って来てやったよ。」
「いいや。昨夜、君はこっちへ来なかったようだよ。」
「アァハハハハ。アァハハハハハ。」
かどのある石は、もう大笑いです。
「アァハハハハ。アァハハハハハ。どうも馬鹿で手がつけられないよ。」
丁度その時、霧が晴れて・・・

  宮沢賢治  気のいい火山弾

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2009年04月03日

宮沢賢治が面白いほどわかる本


宮沢賢治が面白いほどわかる本

第1部 賢治の、とてつもないとてつもない感じ方

(だれも戻れない場所にいる賢治/年中「どぎまぎ」する/

オノマトペ自由自在 ほか)/

第2部 賢治の、ひろがるひろがる宇宙

(極微は極大/生きているかぎりユーモラス/

『千と千尋の神隠し』から『銀河鉄道の夜』へ ほか)/

第3部 賢治の、いくつものいくつもの人生

(歩く/読経する/恋する ほか)/付録

著者情報

小柳学(コヤナギマナブ)

1958年北海道生まれ。

祖父祖母は東北出身で一応賢治と縁あることから、

宮沢賢治に強い関心をもちつづける。中央大学法学部卒業。

出版社勤務を経て現在は編集者及び文筆家
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2009年03月05日

注文の多い料理店2


注文の多い料理店

イギリス風の身なりで猟銃を構えた2人の青年紳士が、

山奥に狩猟にやってきたのだが、

獲物を一つも得られないでいた・・・

やがて山の空気はおどろおどろしさを増し、

そして山の案内人が途中で姿を消し、

なんと、連れていた猟犬が2匹とも、

恐ろしさに泡を吹いて死んでしまった・・・

彼らは「2千何百円の損害だ」と、

表向き金銭的な損失だけを気にする。

しかし、山の異様な雰囲気には気付いたらしく、

宿へ戻ろうとするが、山には一層強い風が吹き、

木々がざわめいて、帰り道を見つけることができない。

途方に暮れたとき、青年たちは西洋風の一軒家を発見する。

そこには「西洋料理店 山猫軒」と記されており、

2人は安堵して店内へと入っていく。

ところが・・・

英語版もあります。


注文の多い料理店〔英語文庫〕

英語では、

THE RESTAURANT OF MANY ORDERS

そうなんだぁ〜
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2009年02月23日

親子で読みたい「宮沢賢治」


親子で読みたい「宮沢賢治」

『銀河鉄道の夜』『オツベルと象』『風の又三郎』…、

生命への慈しみや大自然の優しさ・厳しさなど、

子どもに触れてほしいエッセンスがちりばめられた宮沢賢治の童話。

本書は、賢治の作品の中から30作を厳選し、

「こころ」「ともだち」「いきる」などの6つのテーマに分けて、

読みどころを紹介しています。

親子にふれあいと愛をもたらす、

“賢治童話”の格好のガイドブックです。

文庫書き下ろし。
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2009年02月11日

賢治を語る〜猫の事務所


長岡輝子(朗読)/長岡輝子,宮沢賢治を語る〜猫の事務所

竃猫というのは、これは生れ付きではありません。

生れ付きは何猫でもいいのですが、

夜かまどの中にはいってねむる癖があるために、

いつでもからだがすすできたなく、

殊に鼻と耳にはまっくろにすみがついて、

何だか狸のような猫のことをいうのです。

ですから、かま猫はほかの猫には嫌はれます。

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2009年01月18日

宮沢賢治 猫の事務所

Xam文庫 宮沢賢治 猫の事務所

軽便鉄道の停車場の

ちかくにある猫の第六事務所は、

猫の歴史と地理をしらべる所です。

そこには大きな黒猫の事務長、

一番書記の白猫、

二番書記の虎猫、

三番書記の三毛猫、

そして、

四番書記の竈猫がいました。

なにかにつけて竈猫はいじめられるが・・・

Xam文庫 宮沢賢治 猫の事務所

竈猫=かまねこ の運命は?
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2008年12月23日

宮沢賢治 オツベルと象 最終話

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象最終話

 前回の続き   見てない人は 過去記事からどうぞ


さて、最終話です。 白象は? オツベルは? 壮絶な最期です!


ある日、地主のオツベルのところに 大きな白い象がやってくる。

オツベルは 象をうまく騙して自分の所有物にし、

過酷な労働を続けさせる。

そうとはつゆ知らず、初めは楽しんでいた白象だが、

徐々に食べ物を減らされて弱っていく。

仲間の象たちは、白象を助けるためにオツベルの邸へやってきた。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象

「林のような象だ。汽車より早くやってくる。」

さあ、まるっきり、血の気も失せてかけこんで、

「だんなあ、象です。押し寄せやした。」と声をかぎりに叫んだ。

ところがオツベル、眼をあいたときは、もう何もかもわかっていた。


「おい、象のやつは小屋にいるのか。居る?居るのか。よし。」

オツベルはもうしたくができていて、農夫どもをはげました。

ところがどうして、こんな主人の巻き添いなんぞ食いたくないから、

みんなタオルやハンケチや、よごれたような白いようなものを、

ぐるぐる腕に巻きつけた。降参をするしるしなのだ。

オツベルはいよいよやっきとなって、そこらあたりをかけまわる。

オツベルの犬も気が立ってほえて、やしきの中をはせまわる。


間もなく地面はぐらぐらとゆられ、象はやしきをとりまいた。

グララアガア、グララアガア、その恐ろしいさわぎの中から、

「今助けるから安心しろよ。」やさしい声もきこえてくる。

「ありがとう。よく来てくれて、ほんとに僕はうれしいよ。」

象小屋からも声がする。さあ、そうすると、まわりの象は、

いっそうひどく、グララアガア、グララアガア、

けれども塀はセメントで、中には鉄も入っているから、

なかなか象でもこわせない。

塀の中にはオツベルが、たった一人で叫んでいる。

そのうち外の象どもは、仲間のからだを台にして、

いよいよ塀を越しかかる。だんだんにゅうと顔を出す。

そのしわくちゃで灰いろの、大きな顔を見あげたとき、

オツベルの犬は、あえなく気絶した。


さあ、オツベルは射ちだした。六連発のピストルさ。

ドーン、グララアガア、ドーン、グララアガア、

ところが弾丸は通らない。牙にあたればはねかえる。

「なかなかこいつはうるさいねえ。」オツベルがつぶやいた。

 そのとき…

五匹の象が一ぺんに、塀からどっと落ちて来た。

オツベルはピストルを握ったまま、

もう、くしゃくしゃにつぶれていた。


門があいていて、象がどしどしなだれ込む。

「牢はどこだ。」みんなは小屋に押し寄せる。

丸太なんぞは、マッチのようにへし折られた。

あの白象は大へんやせて小屋にいた。

「まあ、よかったね。」みんなは、そばにより、

鎖と銅をはずしてやった。

「ああ、ありがとう。ほんとにぼくは助かったよ。」

白象はさびしくわらってそういった。


そして、謎めいた原文のさいごの一行には、こう書かれている。

 おや〔一字不明〕、川へはいっちゃいけないったら。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象


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2008年11月13日

宮沢賢治 オツベルと象3

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象

前回 前々回の続き   見てない人は 過去記事からどうぞ


ある日、地主のオツベルのところに 大きな白い象がやってくる。

オツベルは 象をうまく騙して自分の所有物にし、

過酷な労働を続けさせる。

そうとはつゆ知らず、初めは楽しんでいた白象だが、

徐々に食べ物を減らされて弱っていく。

仲間の象たちは、白象を助けるためにオツベルの邸へと急ぐ。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象



象は一せいに立ちあがり、まっ黒になってほえだした。

「オツベルをやっつけよう」リーダーの象が高く叫ぶと、

「おう、でかけよう。グララアガア。」みんなが呼応する。

さあ、もうみんな、嵐のように林の中をなきぬけて、

グララアガア、グララアガア、野原の方へとんで行く。

走って走って、とうとう向うの青くかすんだ野原のはてに、

オツベルのやしきの黄いろな屋根を見つけると、

象たちは いちどに噴火した。

グララアガア、グララアガア。


その時はちょうど一時半、オツベルは寝台の上で

ひるねのさかりで 夢を見ていた。

あまり大きな音なので、オツベルの家の農夫どもが、

「林のような象だ。汽車より早くやってくる。」

さあ、まるっきり、血の気も失せてかけこんで、

「だんなあ、象です。押し寄せやした。」

と 声をかぎりに叫んだ。

ところがオツベル、眼をあいたときは、

もう何もかもわかっていた。

「おい、象のやつは小屋にいるのか。

 居る?居るのか。よし。」

オツベルは もう したくができていて、

農夫どもをはげました。

Xam文庫 宮沢賢治 オツベルと象

さて この後 どうなるのでしょうか?

次回は オツベルと象 最終話!
posted by りゅうせい at 20:14| Comment(0) | 宮沢賢治 オツベルと象 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする